デジタル信用への新しい方向性:Strategyが言い換えるビットコイン時代のビジネス戦略

2025年はビットコイン生態系にとって歴史的な転換点となった。Strategy創設者兼会長のマイケル・セイラー氏が示す方向性は、従来の投機的視点から、制度的・基盤的な採用への移行を示唆している。その先にあるのは、デジタル信用という全く新しいビジネス領域である。

2025年はビットコイン制度化の歴史的転換点:200社超が導入する新しいビジネス方向性

2024年から2025年にかけて、ビットコインを企業のバランスシートに保有する企業数は30~60社から約200社へと急速に増加した。この数字が示すのは、単なる投機的な流行ではなく、ビットコインを資産管理戦略の一部として組み込む企業の急増である。

セイラー氏が強調するのは、この変化は短期的な価格上昇ではなく、制度的な基盤が整備されたことの証である。保険の復活、公正価値会計の導入、政府による正式な認知といった複数の要因が、企業のビットコイン取得を合理的な経営判断へと変えた。

2025年10月には、ビットコインは新しい高値を更新した。その後の価格変動はあるものの、現在のBTC価格は$89.31Kと推移している。セイラー氏によれば、この変動自体は重要ではなく、重要なのはネットワーク効果と基礎的な信頼性の構築にある。

ビットコインの本質を言い換える:デジタル時代の普遍的な資本

セイラー氏が提示する言い換えは、ビットコインを「投機商品」から「普遍的な資本」へとポジショニングを変えることである。電力インフラが工場のあらゆる機械を動かす普遍的な動力源であるように、ビットコインはデジタル時代において、すべての企業と個人が利用できる普遍的な資本となりうるという考え方だ。

これまでビットコイン保有企業に対する批判は、「利益を出していない企業がなぜビットコインを買うのか」という懸念に集約されていた。セイラー氏はこの批判を真向から反論する。赤字企業であっても、バランスシートに1億ドル相当のビットコインを保有し、3,000万ドルのキャピタルゲインを生み出すことは、経営判断として合理的だというのだ。

実際、企業が価値を創造する手段は多様である。損失を出しながらもビットコインを保有しない企業よりも、損失を補うだけのキャピタルゲインを得ている企業の方が、経営効率は高いともいえる。

長期視点の重要性:短期価格予測は無意味、重要なのは基礎面

セイラー氏が繰り返し強調するのは、短期的な価格変動に一喜一憂することの無意味性である。ビットコインが95日前に新高値を更新した直後でさえ、短期的な価格下落に対する懸念が生じた。この現象は、市場参加者の時間選好度が短すぎることを示している。

歴史的なイデオロギー運動を見ると、何かに献身する人々は典型的に10年を要する。それでも成功しない場合、さらに10年、20年を費やすことも珍しくない。ビットコインが商業化の最終段階にある現在、90日や180日単位での価格予測は、全く無意味な分析といえる。

重要なのは、4年周期という従来の理論がもはや有効でないということだ。基礎面での堅牢性が構築される中で、市場は新しい段階へ移行している。

規制環境の整備がもたらす機関投資家の信頼:銀行システムへの統合

2025年に起きた変化の中で最も重要な出来事の一つが、保険の復活である。セイラー氏がビットコインを購入した2020年当時、保険会社は保険契約を解除した。その後4年間、個人資産で企業の保険をかけなければならない状況が続いた。2025年、この状況は一変した。

同時に公正価値会計の導入により、企業はビットコイン保有による利益を計上できるようになった。それまで未実現キャピタルゲイン税の問題に直面していた企業も、政府の前向きなガイダンスにより、この問題を解決できるようになった。

さらに重要なのは、米国の主要銀行がビットコイン担保融資を開始・計画し始めたことである。2026年初には、JPモルガン・チェースとモルガン・スタンレーがビットコイン取引について具体的な検討を進めている。約4分の1の銀行がビットコイン担保融資プログラムの開始を計画している。

財務省も、銀行のバランスシートへの暗号資産の組み入れについて前向きな指針を示し、CFTC(商品先物取引委員会)とSEC(証券取引委員会)の委員長もビットコイン支持を表明している。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)ではビットコイン・デリバティブ市場の商業化が進み、100万ドル相当のビットコインとIBIT(ビットコイン現物ETF)の間で非課税の物理的交換が可能になった。

デジタルクレジット市場という新たなビジネス領域:10兆ドルの可能性

セイラー氏とStrategyが描く方向性の本質は、ビットコインを資本とした「デジタル信用」市場の構築にある。Strategyは銀行業には関心がなく、むしろドル準備金を活用して企業の信用力を高め、新しい信用商品を提供する戦略を採っている。

その理由は単純だ。信用を購入する投資家は、ビットコインや株式のボラティリティを懸念する傾向がある。一方で株式投資家はボラティリティを求める。デジタル信用市場で最大手プレイヤーになるには、企業の信用力を最大化する必要がある。そのためドル準備金を保有することで、商品の信用性と魅力を高める戦略を取っている。

Strategyが提供するSTRC(ディファード・デジタル・クレジット)という商品は、理想的には配当利回り10%、時価総額対簿価総額比率1~2倍の上場商品を目指している。米国債市場の10%を獲得できれば、それは10兆ドル規模の市場となる。

世界には4億の企業が存在する。その全てがビットコインを資本とした信用商品を必要とする可能性がある。銀行のような伝統的な信用供与者とは異なり、デジタル基盤を持つStrategy的なビジネス方向性は、ほぼ無限の成長可能性を秘めている。

現在、多くのビットコイン関連企業の時価総額対簿価総額比率は1を下回っている。しかし、企業が生み出す本来的な価値は、現在の資本運用だけでなく、将来的に何ができるかによっても決定される。Strategyが目指すデジタル信用市場は、従来の金融商品市場と比べてまだ黎明期にある。

ビジネスモデルの転換:集中力と競争優位性の確保

Strategyが銀行業に進出しない理由は、集中力の確保にある。世界最高のデジタルクレジット商品を作ることに経営資源を集中させることで、初めて真のビジネス競争優位性が生まれる。同時に、顧客と競争することは最も愚かな戦略であり、むしろ銀行とのパートナーシップを通じて信用供与を行う方が戦略的に正しいと考えている。

この新しい方向性は、従来の金融機関が歩んできた道とは大きく異なる。ビットコイン、ドル準備金、デジタル信用という3つの要素を組み合わせることで、Strategyは新しいビジネス・エコシステムの構築を目指している。

2026年は、この新しい方向性がどれだけ市場で実現されるかが問われる年になるだろう。短期的な価格変動よりも、制度的な進展と基礎面での構造変化こそが、ビットコイン時代のビジネスの真の価値を決めることになるのである。

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