

STEPNは、「Move-to-Earn(動いて稼ぐ)」をコンセプトとしたブロックチェーンゲームです。NFT化されたスニーカーをアプリ内で購入し、実際に歩いたり走ったりすることで暗号資産を稼ぐことができます。2021年12月にSolanaチェーン上でリリースされ、手軽に運動しながら稼げる仕組みが評価され、2022年前半には世界的に大きな人気を集めました。
ゲーム内ではGST(Green Satoshi Token)とGMT(Green Metaverse Token)の2つのトークンが使用されます。GSTはスニーカーの修理やアップグレードなど、ゲーム内での消費用途が中心です。一方、GMTはガバナンストークンとして、プロジェクトの意思決定への参加やステーキング報酬を得るために利用されます。このような二重トークンシステムにより、ゲーム内経済の安定化とユーザーの長期的な参加を促進する設計となっています。
しかし、一時的なNFTスニーカー価格の高騰後、暗号資産市場全体の停滞とともに収益性が大幅に低下しました。この現象は、Move-to-Earnモデルの持続可能性に関する重要な課題を浮き彫りにしました。
STEPNのゲーム内報酬トークンであるGST(Green Satoshi Token)は、短期間で急騰・急落を経験しました。この価格変動は、Move-to-Earnエコシステムの脆弱性を示す典型的な事例となりました。
2021年12月のローンチ直後は約1.85ドルでしたが、2022年4月にはNFTスニーカー需要の高まりとユーザー数急増により約9ドルまで急騰しました。この時期、世界中のユーザーがSTEPNに注目し、歩くだけで高収益を得られるという新しい概念が大きな話題となりました。しかし暗号資産市場全体の下落やユーザーの伸び悩みに伴い、その後99%以上暴落する事態となりました。
| 時期 | GST価格(USD) |
|---|---|
| 2021年12月(ローンチ) | 約1.85ドル |
| 2022年4月(最高値) | 約9.03ドル |
| 2022年末 | 約0.014ドル(99%下落) |
| 2023年1月(最安値) | 約0.01385ドル |
| 2025年5月時点 | 約0.01ドル前後 |
初期はNFTスニーカーの生成やアップグレードにGSTが大量消費され価格が上昇しましたが、ユーザーの増加が止まると一転してインフレ化しました。市場にトークンが溢れ、需要と供給のバランスが崩れたことで価格暴落を引き起こしました。さらに、2022年5月の中国ユーザー利用禁止措置やTerra、FTXの破綻など暗号資産市場全体を揺るがすショックも重なり、GSTはほぼ無価値となる状況に陥りました。この急激な価格変動は、トークノミクス設計の重要性を改めて示す結果となりました。
STEPN人気絶頂期の2022年前半、NFTスニーカーへの投資回収期間は非常に短く、多くの場合約1ヶ月以内でした。一般的なスニーカー3足で1日約20GSTを稼げたため、月間ROIが極めて高く、年間換算では1000%に達しました。また、9足のスニーカーを保有するユーザーは、1日あたり約85ドルの収益を得られ、年間ROIは約480%に相当しました。この時期、一部ユーザーは1日で300〜400ドルもの利益を得ることも可能であり、「歩くだけで稼げる」という革新的なコンセプトが多くの人々を魅了しました。
しかし、GST価格が急落すると共にゲーム運営側が報酬を制限し始めると、この高収益環境は急速に崩壊しました。2023年には基本的なスニーカーで1日約8GSTの収益が得られるものの、修理コストが約3GST必要となり、実質の収益はわずか約5GST(約0.06ドル)にまで落ち込みました。この劇的な収益性の低下は、多くのユーザーにとって大きな失望となり、プラットフォームからの離脱を加速させる要因となりました。
NFTスニーカー自体の価格もピーク時の数百ドルから、2023年には数ドル以下にまで暴落しましたが、収益が低すぎるため投資回収には9〜10ヶ月以上かかるようになりました。この劇的な収益性低下により、ユーザー1日あたりの平均収益は2022年の約40〜50ドルから2023年にはわずか数セントへと99.9%減少しました。この極端な変化は、Move-to-Earnモデルの持続可能性に関する根本的な問題を露呈させることとなりました。
STEPNのユーザー数は、2022年前半に爆発的に伸びましたが、その後急激に落ち込みました。この急激なユーザー数の変動は、プロジェクトの持続可能性に関する重要な教訓を提供しています。
2022年初頭、口コミやSNSの拡散効果でSTEPNの人気は急上昇しました。特にTwitterやYouTubeでの成功事例の共有が、新規ユーザーの流入を加速させました。運営発表では、同年4月に月間アクティブユーザー数(MAU)が約170万人、ピークの同年5月には月間300万人以上、日間アクティブユーザー数(DAU)約80万人に達しました。この時期、STEPNは世界で最も注目されるMove-to-Earnプロジェクトとして認識されていました。
しかし、ピーク直後の2022年5月以降、ユーザー数はトークン価格の下落や収益性の悪化とともに激減しました。2022年10月にはMAUは約9.9万人、DAUは約5800人にまで落ち込みました。これはわずか数ヶ月でMAUが80%以上も減少したことを示しています。その後もユーザー数減少は続き、2024年4月にはMAUが3.5万人を下回り、ピーク時から98%以上のユーザーを失っています。
| 時期 | 月間ユーザー数 | 日間ユーザー数 |
|---|---|---|
| 2022年5月(ピーク) | 約300万人以上 | 約80万人 |
| 2022年10月 | 約9.9万人 | 約5800人 |
| 2024年4月 | 約3.5万人未満 | – |
この急激なユーザー離れには、以下のような要因が影響しています。
しかし2025年初頭を皮切りに、日別アクティブユーザーが再度増加しており、主に熱心なコミュニティメンバーや再浮上を期待する投資家が残っています。この回復傾向は、STEPNの新しい戦略が一定の効果を上げている可能性を示唆しています。
STEPNは当初、利益の高さが最大の魅力でしたが、それが同時に最大の弱点にもなりました。収益性が低下した主な要因を整理すると以下のようになります。
STEPNの収益構造は、新規ユーザーの参入とNFTスニーカー購入によってGSTの需要を維持する仕組みでした。しかしこのモデルは新規参入が途絶えた途端に破綻する、典型的なポンジスキームと指摘されました。
STEPNの報酬トークン(GST)は発行上限がなく、スニーカーのアップグレードや修理など限られた消費用途しかありませんでした。このトークン設計の欠陥が、価格暴落の主要因となりました。
ブーム期にはスニーカーNFTの価格が急騰(最安値1〜5SOLからピーク時には10〜14SOL、約1000ドル以上)しましたが、収益が急減すると価格も暴落しました。
2022年中頃以降、STEPNの成功に触発された類似アプリ(Sweatcoin、Genopets、Walkenなど)が次々に登場しました。
STEPNの収益性低下は、典型的な「ブームとバスト(急成長後の崩壊)」モデルでした。当初は高い報酬でユーザーを惹きつけましたが、成長停滞や競合登場、市場の冷え込みにより一気に崩壊しました。この現象は過去に「Play-to-Earn」ゲーム(例:Axie Infinity)でも見られたもので、外部収入源がないインセンティブ依存モデルの限界を示しています。
この種のモデルは、新規ユーザーの流入によって既存ユーザーの報酬を支える構造であり、成長が止まれば必然的に崩壊します。STEPNの事例は、持続可能なビジネスモデルの構築がいかに重要かを示す教訓となりました。
STEPNの栄枯盛衰はM2E(動いて稼ぐ)業界全体の動向とも一致しています。複数の競合が登場しましたが、それらがSTEPNを直接的に追い越したというより、市場全体が縮小した状況に近いです。2023年初頭にはM2E業界全体でトークン価値がピーク時から約75%下落しており、STEPNはその中でも特に大きな影響を受けました。この業界全体の低迷は、Move-to-Earnモデルの根本的な課題を浮き彫りにしました。
Sweatcoinは2014年に登場したWeb2型フィットネスアプリで、1億人以上のユーザーを獲得後、2022年9月に暗号資産「SWEAT」を導入しました。
GenopetsはSolana基盤のアプリで、歩いて育てるデジタルペット(NFT)という独自要素を持っています。収益には専用の土地NFTが必要なため、参入障壁が高めです。
Walkenはキャラクター育成型ゲームで、STEPNより比較的マイルドな71%のトークン下落率に留まりました。
M2E市場全体の時価総額は、2022年5月の10億ドル超から2023年初頭には約2.7億ドルに急落しました。この大幅な市場縮小は、Move-to-Earnモデルの持続可能性に対する投資家の信頼が大きく損なわれたことを示しています。
STEPN公式チームは、ピーク時からユーザー離れが起きた後も積極的なコミュニケーションを行いました。特にユーザーの不安を解消し、長期的な展望を伝える努力が目立ちました。
2022年中盤には、共同創業者のYawn Rong氏が以下を発信しています。
2022年10月には「100人のスタッフ解雇」「プロジェクトの大幅縮小」などの噂が広まりましたが、公式はこれを即座に否定しました。
2023~2024年には、公式発信の方向性がさらに明確になりました。AdidasとのパートナーシップやSTEPN GO、Hausシステムなど新機能を強調し、「短期利益より、楽しさとユーザーの参加」を強調しました。この戦略転換は、Move-to-Earnから健康とライフスタイルを重視したプラットフォームへの進化を示すものでした。
初期のSTEPNブーム時(2022年前半)は、多くのインフルエンサーが熱狂的に紹介しました。YouTubeやTwitterで多くのユーザーが大きな利益を公開し、「簡単に稼げる」イメージが広がりました。この時期、STEPNは暗号資産コミュニティで最も注目されるプロジェクトの一つとなりました。
しかし、STEPNの問題が明るみになるにつれて、アナリストや著名インフルエンサーからの批判が増加しました。
一方、2023年以降はよりバランスの取れた見方も出てきました。
2024年はSTEPNのプラットフォーム拡充が中心でした。これらのアップデートは、ユーザー体験の向上とプラットフォームの持続可能性強化を目指すものでした。
2025年前半は、ユーザーエンゲージメント強化に注力しました。これらの新機能は、ユーザーの継続的な参加を促進し、コミュニティの活性化を目指すものでした。
STEPNの公式ロードマップでは、2025年以降さらに以下の新機能が予定されています(具体的な時期は未公開)。これらの計画は、プラットフォームの長期的な成長と持続可能性を目指すものです。
| 時期 | アップデート・新機能 | 内容 |
|---|---|---|
| 2024 | Realm4導入、Web2統合、スポーツブランド提携、GMTユーティリティ拡充 | プラットフォーム拡充とユーザー層拡大 |
| 2025(4月まで) | マラソンモード、GMT Earn機能、MPCウォレット強化、Ethereumクロスチェーン対応、AIコーチング(β版)、スニーカーレンタル2.0 | ユーザーエンゲージメント強化と技術面の改善 |
| 2025年以降(予定) | クエストシステム、バックグラウンドモード、リファラルシステム、GMTステーキング、DOOAR拡張、寄付システム、分散型ウォレット強化 | 長期的な機能拡張 |
STEPNは2022年前半に爆発的な人気を博したものの、GST価格暴落、ユーザー数激減など激しい浮き沈みを経験しました。しかし、RWA(現実資産)プロジェクトとの連携や「STEPN GO」アプリの導入といった新展開を進めることで、単なる収益性を追求するモデルから、健康志向やコミュニティ重視のライフスタイルアプリへと再定義を図っています。
将来的には短期的な利益よりも、フィットネスやブランド連携を中心に据えた持続可能なエコシステムの構築に成功するかが鍵となるでしょう。STEPNの事例は、Move-to-Earnモデルの可能性と限界を示すと同時に、ブロックチェーン技術を活用した新しいライフスタイルアプリの方向性を示唆しています。プロジェクトの今後の展開は、Web3とフィットネスの融合という新しい分野の発展を占う上で重要な指標となるでしょう。
STEPNの初期段階では、革新的な歩行・ランニングのゲーム化と強力なマーケティング、初期ユーザーの高い参加意欲が相まって、トークン価格の上昇と高い取引額により、ユーザーが大きな利益を得られていました。
STEPNのオワコン化は、トークン価格の急落、ユーザー数の減少、競合プロジェクトの増加が主な原因です。収益性の低下により、ユーザーの関心が薄れました。
STEPNの収益性は初期段階より減少していますが、今でもコツコツと利益を積み重ねる可能性があります。継続的な努力と戦略的なプレイで、安定した収益を期待できます。
STEPNへの投資リスクは、詐欺の可能性、初期費用の回収不能、ウォレットセキュリティの脆弱性が主な危険要因です。市場変動による損失も考慮が必要です。
STEPNはフィットネス報酬に特化し、Axie InfinityやCalaxyはゲームプレイと仮想資産を重視します。Axieはレンタル制度でユーザーが貸し出しで稼げますが、STEPNはまだ未実装です。STEPNのユーザー急速成長が特徴です。











