
メタバースとは、現実世界とは別の仮想空間を構築し、そこで様々な活動や体験ができるようにする空間やサービスのことで、アバターを操作して、コミュニケーションしたり、ゲームやショッピングなどの活動を楽しんだりできるのが特徴です。
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術を使うことで、より没入感の高い体験を可能にしており、ゲームだけでなく、ビジネスや教育などの分野でも活用されています。メタバース技術は、ユーザーに現実世界では得られない新しい体験価値を提供することができ、特に音楽業界においては、従来のライブ形式を超えた革新的なエンターテインメント体験を実現する手段として注目されています。近年、メタバースはさらに発展し、日常生活や社会に大きな影響を与える産業として期待が高まっています。
メタバースは音楽業界との相性が良く、対面イベントが制限される状況下で、新たな音楽ライブの様式として注目されました。メタバースライブはインターネット環境があれば、世界中のどこからでも参加でき人数に制限のないことから、新しいビジネスの形態としても期待されています。ここでは、メタバースライブの主な特徴を3つ解説します。
メタバースライブ上では、アーティストが現実世界では実現できなかったような演出が可能です。
例えば、巨大なステージでパフォーマンスを行ったり、観客が自由に移動したりといったこともできます。また、様々なエフェクトやアニメーションを使って、幻想的な世界を作り出すこともでき、オフラインの音楽ライブでは実現できなかった演出が可能になるため、今後さらに需要が広がっていくでしょう。
具体的には、アーティストが空中を飛んだり、瞬間移動したり、巨大化したりするなど、物理法則に縛られない自由な表現が実現できます。さらに、視聴者はアバターを操作してライブを楽しむことができ、より没入感の高い体験が可能になります。これによって、アーティストは、現実世界では不可能な演出を行い、視聴者の心を鷲掴みにすることができ、音楽体験の新たな可能性を切り開いています。
メタバースライブは、インターネット環境があれば、世界中のどこからでも参加できるのが特徴です。現実世界では、ライブ会場に行くためには、時間や場所、交通手段などに制限がありますが、メタバースライブでは、それらの制限がなくなります。
この特徴により、地理的に離れた場所に住むファンや、身体的な理由で会場に行くことが難しいファンも、気軽にライブに参加できるようになります。また、会場のキャパシティという物理的な制約もないため、理論上は無制限の参加者を受け入れることができます。その結果、アーティストは、より広い視聴者層を獲得でき、ファンとしても地理的や時間的な制限がなくなるため、双方にとってのメリットがあるといえます。さらに、タイムゾーンの異なる地域でも同時に楽しめるよう、複数回の公演を設定することも容易になります。
NFTやデジタルアイテムの販売、メタバース内での広告など、アーティストに新たな収益源が生まれ得る点も、メリットといえます。
これまでのライブでは、チケット収入やグッズ販売などが主な収益源でしたが、メタバースライブになることで、オンラインやNFTの特徴を活かしたマネタイズが可能になります。例えば、限定版のデジタルアートやバーチャルグッズ、特別なアバター用アイテムなどを販売することができます。また、メタバース空間内でのスポンサーシップや広告掲載、VIP体験チケットの販売など、多様な収益モデルを構築できます。収益の幅がより広がることで、アーティストの持続的な活動を支援することができ、今後はよりアーティストが活躍していくことが予想されます。
メタバース技術を活用した音楽ライブは、世界中で様々な形で実施されています。ここでは、特に注目を集めた代表的な事例を5つ紹介します。これらの事例は、メタバースライブの可能性と多様性を示すものとなっています。
2020年4月、世界的人気オンラインゲーム「フォートナイト」とトラヴィス・スコットのコラボレーションによる、メタバースライブが開催され、世界中の数百万人のプレイヤーが参加し、大きな話題を呼びました。
このライブでは、トラヴィス・スコットがゲーム内の巨大なステージでパフォーマンスを行い、空を飛ぶといった演出もあったほか、水中を泳いだり、宇宙空間に浮かんだりするなど、現実では不可能な幻想的な演出が実現されました。また、フォートナイトのアイテムとして、トラヴィス・スコットのスキンやエモートが販売され、NFTとしても取引されています。このイベントは、ゲームプラットフォームを活用したメタバースライブの成功例として、業界に大きな影響を与えました。
サンリオバーチャルフェスは「バーチャルサンリオピューロランド」というテーマパークを再現したメタバースライブです。2021年12月に初開催され、2023年1月に第2回が開催されました。
第2回では、鈴木愛理やSKY-HIなどのアーティストのほか、ハローキティやシナモロールなどのサンリオキャラクターが出演し、キャラクターとアーティストのコラボレーションパフォーマンスが実現しました。VRChatというソーシャルVRプラットフォームが利用され、参加者は自由にアバターをカスタマイズして楽しむことができました。約10万人が参加し、VRChat内での視聴者数も最高約2万人を記録しています。このイベントは、既存のIPとメタバース技術を組み合わせた新しいエンターテインメントの形として注目されました。
エイベックスランドは、エイベックス・テクノロジーズ株式会社が「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」にオープン予定のテーマパークです。エイベックスランドは、仮想空間上でのアーティストとファンの交流をコンセプトとしており、オープン後はアーティストの配信ライブやファンミーティングといったイベントの実施が予定されています。
東京ドーム約7個分のメタバースの土地を購入して準備が進行しており、大規模な仮想エンターテインメント施設の構築が進められています。2022年3月にエイベックスアーティストの関連NFTを集めた「Metavex District LANDセール」が開催され、ファンはバーチャル土地やデジタルアセットを購入することができました。このプロジェクトは、音楽レーベルが主導する本格的なメタバース事業として、業界から大きな期待を集めています。
Metaverse Music Festivalは、メタバースプラットフォーム「Decentraland(ディセントラランド)」が2022年11月10日に開催した音楽フェスティバルです。Decentralandは、ブロックチェーン技術を用いて分散型の仮想世界を構築しており、ユーザーは自由に土地を購入・売却・開発することができます。
Metaverse Music Festivalでは、Decentraland内に作られた複数のステージで、新しい学校のリーダーズなど約150人のアーティストが出演し、多様なジャンルの音楽が披露されました。MetaTokyoという文化都市開発プロジェクトがプロデュースする「MetaTokyoステージ」では、きゃりーぱみゅぱみゅなど日本のアーティストが出演し、日本の音楽文化をメタバース上で発信しました。このイベントは、ブロックチェーン技術とメタバースを組み合わせた分散型音楽フェスティバルの先駆的な事例として評価されています。
米津玄師の5枚目のアルバム『STRAY SHEEP』の発売を記念してFortniteライブが企画されました。
Fortniteライブでは、スクリーンに米津玄師のアバターが登場し、羊の頭のかぶりものをした姿で歌い、アルバムのコンセプトを視覚的に表現しました。スクリーンの周りには『STRAY SHEEP』のアートワークやキャラクターが飾られており、アルバムの世界観を忠実に再現しています。このイベントは、日本のアーティストによる大規模なメタバースライブとして、国内外から大きな注目を集め、音楽プロモーションの新しい形として高く評価されました。参加者は、ゲーム内で音楽を楽しみながら、アルバムの世界観に没入することができ、従来のプロモーション手法とは一線を画す体験を提供しました。
メタバース音楽ライブは仮想世界でリアルタイム演奏を楽しむ体験です。従来のオンラインコンサートと異なり、参加者が仮想空間で相互交流でき、ライブ会場の臨場感とコミュニティ体験を実現します。アバターでの参加により、グローバルな音楽体験が可能になります。
メタバースの有名な音楽ライブ事例としては、2020年のトラビス・スコットのFortniteライブ、2021年のThe Weekndの「Hype House」ライブが挙げられます。これらは仮想空間での音楽体験を革新し、グローバルなファン参加を実現しました。
VR・3D技術でリアルな音楽体験を実現し、ブロックチェーン技術でNFTチケット発行や分散型データ管理を行います。これらの融合により、安全で没入感のあるライブイベントが実現されています。
メタバース音楽ライブは、世界中どこからでも参加でき、単なる視聴ではなく没入型の体験が得られます。アバターでライブ会場に入場し、他のファンと交流しながら、リアルタイムでのパフォーマンスを楽しめます。運営側のコストも削減され、より多くのユーザーへアクセス拡大が可能です。
メタバース音楽ライブは、チケット販売、NFTアイテム販売、メタバース内広告、グッズ販売により収益を生成します。アーティストと企業は参加者からの直接収益と、ブロックチェーン技術を活用した新しい収入源を確保しています。
メタバース音楽ライブは高い成長可能性を持ち、2026年には市場規模が約1兆円に達すると予想されます。今後の展開として、技術革新による没入感の向上と、より多くのアーティスト参入が期待されます。課題は技術インフラの整備とユーザーの継続的なエンゲージメント確保ですが、市場成長の見込みは十分にあります。











