複数の情報筋が確認したところ、Nvidia(輝達)はArmアーキテクチャを採用したN1Xノートパソコン用プロセッサを発売予定であり、20コアのCPUとRTX 5070クラスのGPUを統合している。データセンターから個人用PCまで、時価総額3兆ドルの同社はAIの技術を個人向けコンピュータへと拡大している。
(前提情報:フィナンシャル・タイムズによると、輝達はOpenAIに300億ドルの出資を計画しており、昨年の1000億ドル規模の提携を置き換えるものとされる)
(補足情報:アマゾンもOpenAIへの投資に百億ドル規模を検討しており、自社開発のチップTrainiumを推進して輝達の覇権に挑むと伝えられている)
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過去3年間、輝達の物語は一つの軸だけだった:データセンター。AIトレーニング用チップの需要拡大により、同社の売上は百億ドルから千億ドル規模へと急増した。この過程で、輝達は創業の地である消費者向けPC市場をほぼ放棄した。
しかし、『ウォール・ストリート・ジャーナル』や複数のサプライチェーン情報筋によると、輝達が開発中のN1Xプロセッサは、Armアーキテクチャを基盤としたシステムオンチップ(SoC)であり、CPU、GPU、AIアクセラレータを一体化している。最初のN1X搭載ノートパソコンは2026年第1四半期に登場する見込みで、3月のGPU技術会議(GTC)が正式発表の舞台となる可能性が高い。
N1Xのハードウェア仕様は複数のリーク情報からおおよその概要が掴めている:20コアのARM CPUは2つのクラスターに分かれ、6,000以上のCUDAコアを持つ統合GPUと組み合わされており、その性能はRTX 5070相当と見られる。
これは高性能ゲーミングやAIワークロードを直接狙ったチップだ。つまり、輝達がノートパソコン市場に進出する第一歩として、最もハードルの高い戦場を選んだことになる。
事情通によると、DellはN1X搭載のAlienwareゲーミングノートやXPSのハイエンドシリーズを開発中であり、Lenovoも一気に6モデルを計画している。二大PCメーカーが資源を投入し、全面戦争の準備を進めている。
表面上は、輝達のN1XはIntelやAMDが支配するWindowsノート市場を狙ったものと見える。しかし、輝達がArmアーキテクチャを選択した深層的な理由を理解すれば、実際の対抗相手はAppleのMシリーズチップであることが見えてくる。
2020年にAppleがM1チップを導入して以来、その統一メモリアーキテクチャ(UMA)はノートPCの性能と消費電力の基準を再定義した。Windows陣営もSnapdragon X EliteなどのARMチップを用いて追い上げを図り、バッテリー持続時間の改善に努めているが、ソフトウェアエコシステムの互換性やエミュレーション効率は依然として越えがたい壁だ。
輝達の強みはGPUにある。AI推論やグラフィックスレンダリングといったGPU依存の場面で、輝達は圧倒的なソフトウェアエコシステムを持つ。CUDA開発者は400万人を超え、ほぼすべてのAIフレームワークが輝達ハードウェアを優先的にサポートしている。
もしN1Xがこのエコシステムの優位性をクラウドからノートPCへと移植できれば、Windows陣営にはMacBookと正面から対抗できるハードウェアプラットフォームが生まれる可能性がある。ただし、「もしも」という条件は、第一世代の製品において常に大きな不確定要素を伴うものであり、実際の結果は時間とともに明らかになる。
アナリストは、輝達のBlackwellやRubinシリーズのチップが2026年までに累計で5,000億ドルの売上をもたらすと予測している。この天文学的な数字の前では、ノートパソコン用プロセッサの売上貢献は短期的には微々たるものに見えるが、戦略的意義は売上高ではなくエコシステムの支配にある。
もし輝達がデータセンター、自動車、ロボットから個人用PCへと展開を拡大できれば、史上初めてすべての計算レイヤーで支配的な地位を占める半導体企業となる可能性がある。IntelはPC時代に類似のことを成し遂げたが、データセンターのGPU市場を制覇したことはなかった。Appleは消費者向けに垂直統合を実現したが、企業やデータセンター分野は放棄している。
輝達は両者の良いとこ取りを狙っている。
N1Xの成功は、ソフトウェアエコシステムの成熟度、第一世代の放熱と電池性能、そして高価格帯市場での価格戦略次第だ。現状、対抗馬はAppleであり、これは世界で最も手強い相手の一つといえる。