イーサリアム共同創設者のビタリック・ブテリンは、「意図指向のセキュリティ」(intent-based security)という枠組みを提唱し、ユーザーが取引を実行する前にウォレットがチェーン上の結果をシミュレーションし、ユーザーに確認を促すべきだと主張している。これに支出制限やマルチシグ機構を組み合わせることで、低リスクの操作をより簡便にし、高リスクの取引を誤って実行しにくくすることを目指す。
(前提:ビタリックの理想的な暗号ウォレット像:クロスレイヤー(L2)取引体験、アカウントのプライバシーとセキュリティ、データウォレット化…)
(背景補足:ビタリックは市場の「スマートウォレット」を批判:多くは中央集権的管理であり、ユーザーは悪意のリスクに注意すべきだと指摘)
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イーサリアム共同創設者のビタリック・ブテリンは、最近X(旧Twitter)で、「意図指向のセキュリティ」(intent-based security)と呼ばれる枠組みを提案した。彼は、安全性とユーザー体験は本質的に同じものであり、両者の核心はシステムの実行結果がユーザーの真の意図と一致していることを保証することにあると考えている。
「セキュリティについて私が考えること」:
目的は、ユーザーの意図とシステムの実際の挙動との乖離を最小化することだ。
「ユーザー体験」も同じように定義できる。したがって、「ユーザー体験」と「セキュリティ」は別の分野ではない。しかし、「セキュリティ」…
— vitalik.eth (@VitalikButerin) 2026年2月22日
ビタリックが述べる仕組みは非常に直感的だ。ユーザーはまず実行したい操作を指定し、その後システムがその取引のチェーン上の実際の結果をシミュレーションし、ユーザーはシミュレーション結果を見て「承認」または「キャンセル」を決める。
彼は次のように述べている。
「ユーザーはまず取りたい行動を指定し、その後、その行動のチェーン上の結果のシミュレーションを見て、『承認』または『キャンセル』をクリックする。」
取引のシミュレーションに加え、この枠組みには支出制限やマルチシグ(multisig)などの追加防護層も含まれる。ユーザーの意図、予想される結果、リスク許容度の三者が一致した場合のみ、取引が実行される仕組みだ。これにより、日常的な少額操作をよりスムーズにしつつ、高リスクの大口送金やコントラクトとのインタラクションをより慎重に行えるようにすることを目指している。
ビタリックは、この枠組みには根本的な難題があると認めている。それは、「ユーザーの意図」を定義すること自体が「非常に複雑」な問題であり、これが完璧なセキュリティソリューションの実現を妨げている。
そのため、彼は複数の重複した仕組みを通じてユーザーの意図を表現し、これらの仕組みの結果が一致した場合にのみ取引を実行することを提案している。この「多重検証」の設計思想は、彼が過去に提唱したマルチシグウォレットやソーシャルリカバリーといった理念と一貫している。
「ユーザーの意図」は本質的に非常に複雑なものであり、ユーザー自身も完全に把握しきれないことが多い。
セキュリティは、ビタリックが提唱する「ブロックチェーンの三難困境」(Blockchain Trilemma)の重要な要素の一つであり、分散性と拡張性と並ぶ。近年、イーサリアムの開発は主に拡張性(Layer 2やシャーディングなど)に焦点を当ててきたが、今回の提案は、セキュリティとユーザー体験の改善も同様に重要視されていることを示している。
特に注目すべきは、ビタリックが最近頻繁にウォレットの安全性について発言している点だ。彼は以前、「ハードウェアウォレットは過大評価されている」と述べ、多くの人は資産をマルチシグウォレットに預けるべきだと主張している。また、市場の「スマートウォレット」の多くは実際には中央集権的管理であり、悪意のリスクが存在すると批判してきた。今回の意図指向のセキュリティ枠組みは、彼の暗号資産ウォレットの安全性に対する最新のビジョンの一端といえる。
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