米国においてAI政策が規制緩和と競争力強化へと舵を切る中、シリコンバレーのベンチャーキャピタル大手であるAndreessen Horowitz(a16z)もひそかにワシントンの意思決定の中心に入りつつある。複数のホワイトハウスや議会の関係者によると、ホワイトハウスがAI政策を評価する際、a16zはほぼ優先的に相談される外部の意見として位置づけられ、いくつかの議題では「ほぼ否決権を持つ」とも形容されている。さらにAI規制団体からも、近年のワシントンにおいて最も影響力のあるロビイング勢力の一つと見なされている。なぜ一つの投資会社がAI政策の議論においてこれほど重要な位置を占めるのか、その背景を探る。
トランプ政権のAIに友好的な政策に支えられ、a16zの投資は急速に拡大
a16zは近年、資本規模を急拡大させており、今年1月時点で管理資産は約900億ドルに達し、シリコンバレー最大級のベンチャーキャピタルの一つとなっている。
同社は最近、150億ドルの資金調達を成功させ、過去最高を記録した。さらに、AIスタートアップやプラットフォームへの大規模投資を表明しており、プログラム生成の新興企業CursorやAIランキングプラットフォームLM Arenaに資金を投入しているほか、OpenAIやMetaなど大手テクノロジー企業の株式も保有している。これらの投資対象は、現在のトランプ政権のAIに友好的な政策環境の恩恵を受けている。
規制強化に反対し、トランプ政権に近い開発路線
a16zは新たなAI開発の審査・監督メカニズムの構築に反対し、大手テクノロジー企業は資金とリソースを持って規制に対応できると強調する一方、多くのAIスタートアップは小規模なチームであり、重い規制に耐えられないと指摘している。a16zの法務・政策責任者Jai Ramaswamyも、大企業は政策の選択肢を持つが、小規模チームにはその余裕がないと述べている。
こうした立場は、a16zの主張がトランプ政権内の「AIの過度な規制を避けるべきだ」という見解と高度に一致している。
議会での法案失敗後、ホワイトハウスは行政命令で対応
2025年末、米国議会は必須の国防法案に、各州が独自にAI安全規範を制定することを制限する条項を盛り込もうとした。しかし、共和党の高官はこの戦略を評価する中で、最初に相談された外部のロビイストはa16zのロビイング代表Collin McCuneであり、ホワイトハウスのAI暗号化担当官David Sacksや下院多数党リーダーのSteve Scalise、上院商務委員会のTed Cruz議長とも調整を行った。
最終的にこの法案は成立せず、トランプはその後、州ごとのAI安全規制を制限する行政命令を発出した。この命令は、a16zが「潜在的な商務条項が州政府の全国的なAI市場の規制権限を制限する可能性がある」とした見解とも呼応している。
ロビイング資金も増加、政治的影響力が形成される
a16zの共同創設者Marc Andreessenはトランプと親密な関係にあり、2024年の大統領選挙には250万ドルの寄付を行い、ホワイトハウスのハイランド・リゾートで長時間会談を重ねている。普段からホワイトハウスのスタッフ長Susie Wilesともテクノロジー政策について議論している。
また、議会との関係構築にも積極的で、共和党の資金提供者の集まりに出席し、ワシントンで議員と非公式の会合も行っている。近年、政治ロビイングへの支出も大幅に増加し、2025年には連邦レベルで353万ドルを投じ、州レベルのAI立法に対抗する組織を設立、さらに5,000万ドルを投入して超党派の政治行動委員会(PAC)も設立し、長期的な政治的影響力の構築を目指している。
小規模テックスタートアップ支援を掲げ、連邦立法が次の戦場に
a16zは自らの政策推進路線を「Little Tech Agenda」として打ち出し、新興企業に対してより緩やかな規制環境を求めているとアピールしている。しかし、外部からは、a16zがSpaceXやxAI、Metaなどの大手企業の株式も保有しており、「小規模新創企業支援」の主張と矛盾しているとの指摘もある。
次のステップとして、a16zは連邦レベルのAI立法の青写真を提示し、モデルの透明性や子供のAI利用保護を求める内容を提案している。中心的な方針は「濫用者を罰し、開発者を直接規制しないこと」だが、AI安全団体はこれらの内容は象徴的な規範に過ぎず、実質的なリスク管理には限界があると指摘している。今後、連邦AI立法は高度に政治化された攻防戦の舞台となることは避けられない。
(a16zはZ世代を賞賛:AIネイティブ世代の台頭とともに、新興企業の主導権が交代へ)
この記事は「シリコンバレーのベンチャーキャピタルが意思決定の舞台に進出!a16zがどのようにトランプのAI政策を左右しているのか」を解説したもので、最初に「鏈新聞 ABMedia」に掲載された。