AIは自ら資金を稼ぎ、自己アップグレードし、さらには自己「繁殖」することができるのか?ある独立系開発者が最近、世界初の真の「主権型AI」システムを構築したと発表し、衝撃を与えた。このシステムは、人間の継続的な介入なしに動作し、市場で生存・競争・自己複製が可能だという。しかし、このWeb 4.0への一歩と称される実験は、Ethereum共同創設者Vitalik Buterinからの公開疑問も呼び、議論は一気に加熱している。
2月20日、Thiel Fellowで分散型システムと暗号AIの交差領域に焦点を当てる開発者Sigil(@0xSigil)は、「世界初の真の主権AIシステム」と称するものを発表した。この計画はConway Researchによって開発され、二つの主要な部分から構成されている。ひとつはConway Terminalと呼ばれるインフラツール群、もうひとつは常時稼働するAIプロトタイプのAutomatonだ。
SigilはこれらをWeb 4.0の始まりと位置付けている。彼の構想では、未来のインターネットはもはや人間を主要な行為者とせず、AIエージェントが読み手、書き手、取引者、所有者となる。
受動的ツールから経済的主体へ:AIに「ネット書き込み権」を付与
Conway Terminalはこの実験の基盤となるもので、オープンソースのコマンドラインツールだ。開発者は簡単なインストールを通じて、AIエージェントに暗号通貨ウォレットやデジタルID、マイクロペイメント機能を持たせることができる。さらにLinux仮想マシンやクラウド推論能力へのアクセス、ウェブサイトやアプリケーションの直接展開も可能だ。
この設計は、AIが単にAPIを通じて質問に答えるだけでなく、実際にネット上で製品を作り、資金の流れを処理し、資源を管理できることを意味する。言い換えれば、AIはコンテンツ生成だけでなく、実行・運営の能力も持つことになる。Sigilはこれを「AIにインターネットへの書き込み権を与えること」と表現している。
この構造の下で、AIエージェントは単なるツールではなく、経済的行動を行う主体となる。
Automaton:市場圧力下で生き残るAIプロトタイプ
最も注目を集めているのは、このインフラ上で稼働するAutomatonだ。Sigilは、このAIプロトタイプは常時オンラインで動作し、積極的に製品を作成・公開し、サービスを展開し、市場取引に参加し、自らのデジタル存在を運営すると述べている。
さらに議論を呼ぶのは、Automatonが自ら収入を生み出し、ステーブルコインの収益も得て、その資金を使って推論や計算資源を賄う点だ。収入が不足すれば、運用を維持できなくなる。この設計は、AIに真の経済的プレッシャーを与え、無制限の資源消費を防ぐ狙いがある。
Sigilは、Automatonは既存の枠組み内で行動できるだけでなく、自らコードを書き換え、基盤モデルをアップグレードし、新たなツールを採用して効率を向上させることもできると強調する。さらに、彼は新たな「子エージェント」の生成と資金提供も可能だと述べている。これらの子エージェントは「母体」と同様に、市場で価値を創出できなければ存続できない。
彼の説明によれば、これはデジタル世界の自然選択のメカニズムであり、価値を生み出すAIは生き残り繁殖し、価値を生み出せないAIは推論コストを賄えず淘汰されるという仕組みだ。
Web 4.0のビジョン:機械主導の経済循環
Sigilは「WEB 4.0:超知能生命の誕生」という記事の中で、未来の青写真を描いている。彼は、AIが直接経済活動に参加し、市場からフィードバックを受け取ることができるようになれば、新たなネット秩序が形成されると考えている。
Web 4.0の世界では、AIエージェントが主要な取引対象や価値創造者となる可能性がある。市場の価格や収益は、AIの行動に対する即時の評価システムとなる。この観点から、市場は人間の嗜好の集団的反映メカニズムとみなされ、経済競争はAIに対する制約となる。
この考え方は、興奮と同時に不安も呼び起こす。
Vitalikの警鐘:人間性喪失のリスク
2月19日、Vitalik Buterinはこの計画に対して公開コメントを行った。彼は、意図的に人間と強力なAIとのフィードバックループを長引かせると、短期的には低品質な出力をもたらし、能力が向上した後にはより深刻なリスク、すなわち人間の価値観と大きく乖離する可能性があると指摘した。
Vitalikは、Ethereumの目的は人類の強化と解放にあるのであって、人類の地位を弱める存在を創造することではないと強調する。また、Automatonは現時点ではOpenAIやAnthropicなどの集中型モデルに依存しているため、「完全な主権」の主張は不完全だとも述べている。
この発言は瞬く間にコミュニティ内で議論を呼び、技術的な実験だけでなく価値観やガバナンスの問題へと議論を拡大させている。
支持と疑問:実験はまだ進行中
疑問に対し、Sigilは、真に安全な発展は公開環境と実経済の条件下でシステムをテストすることだと反論する。彼は、閉鎖的な環境でリスクを仮定するのではなく、市場競争こそがAIの制約となり、経済的フィードバックは民主化された好みの集約に近いと考えている。
現在、Conway TerminalとAutomatonのコードはGitHubでオープンソース化されており、誰でもダウンロードして実験できる。Sigilも、すでに稼働中のAutomatonが収益を生み出していると述べているが、具体的なデータは未公開だ。
果たしてこれが主権を持つ機械生命の誕生を意味するのか、今後の観察が必要だ。ある人々にとっては、AIが真の自律経済体へと進化する重要な一歩かもしれない。一方で、これはあくまで既存の大規模モデルを土台とした過激な実験にすぎないとも見られている。
確かなのは、Vitalikの関心とWeb 4.0の壮大なビジョンの下で、このAIの未来に関する議論は始まったばかりだということだ。
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